■ダイソー「木粉ねんど」の創作人形への使用性レポート〜説明は多分、初心者向けになってます…
■はじめに
 軽くて強度があり壊れにくい素材…石粉粘土のラドールは確かに細工もしやすく比較的安価ですが、完成後はSDほどではないですけど結構重くなります。あと、薄く作るとひび割れが出来るとか…プルミエは高いし…「木の粘土」と「ラドール」を混ぜて使うと言うのもありますが、「木の粘土」って結構高いし、なかなか手に入らなくって…(横浜では、東急ハンズで売ってます)。そこで、たまたま100円ショップのダイソーで見つけた「木粉ねんど」(写真1)、これで創作人形は作れないものかと思ったのが、今回のコンテンツの最初でした。ダイソーの商品なので常にあるとは限らないところが今ひとつなのですが、とりあえず、使ってみた具合をまとめました。
(写真1)ダイソーで扱っているザ・粘土のシリーズの「木粉粘土」
一袋が計量カップ1の大きさ(ラドールの半分くらい?)です。
発注番号 粘土-No.15    1個(税込み)105円
日本製 材質表示:木粉・中空微粉体・天然繊維・特性合成糊剤・防腐剤・水分

■使用時の感触
1.袋から出して練った時
 最初の時はふわふわな感じがしますが、練る内に段々しっかりしてきます。ただ、最後までふわふわ感は消えませんでした。それと手につきにくいのがいい感じです。一通り練ったらジップロックの袋に入れ常温で二週間くらい保存しましたが、防腐剤が入っているせいか、カビも生えず良かったです。

2.発泡スチロールの芯に巻いた時
 薄く延ばすことが出来るのと、発泡スチロールにしっかりと食いつくので、すごく巻きやすいです。ただし、薄いままだと強度がないので、最低でも3mm以上の厚さが必要みたいです。乾燥時には、粘土同士をよくつけてあればひびは入りませんが、そうじゃないと接合部の表面ににひびが入るようです。乾いた粘土への盛り足しは、表面を水でぬらして指先でコスって粘りが出てきたら可能ですが、乾燥後に継ぎ目が分かります。
それと、乾燥に掛かる時間は、ラドールの場合の約2〜3倍と見た方が良いようです。その分、長い時間色々といじれるので、悪くはないですが、芯抜きは完全に乾燥しないと発泡スチロールとよくくっついているのでうまく外れません。無理に外すと乾燥時の歪みが大きくなるようです。

3.乾燥後の強度について
 完全に乾燥するとものすごく軽くなり〜今回のお人形の出来あがり寸法45cmで、3袋使って200g切りました(写真2)〜、やや弾力を残しているので、落としてもひびも入らず、へこみもしませんでした。ただし肉厚が厚い場合のことで、反面肉厚が薄いとおもいっきり凹みます。手でパーツを握った時にはやや撓みを感じられる程度ですが、変形することが感じられます。

(写真2)12mmグラスチックアイ使用で186.9g!!
この重さは27cmドルフィー(ボークス製着せ替え人形) 2体分位です。
これに仕上げの胡粉等と髪の毛、衣装をつけてトータル5〜600gになりそうです。

 乾燥後の削りでは、繊維が絡んでぼろぼろと崩れるのでカッターナイフは使いにくいです。ヤスリやリューターなどで削りだす方がやり易いように感じられました。関節の受け等の整形にはアイベベラーで削る方法が良いようでした。また、関節の受け部分など肉厚の薄い部分の強度アップや精度を出したい部分には、低粘度の瞬間接着剤を吸わせて固める方法が良好でした。細かい細工が必要な部分、たとえば耳や口角とかでは、瞬着を吸わせておいて硬化後、カッターやダイヤモンドビットをつけたリューターで作業を行うといいです。この作業では、やすりは、ダイヤボンドやすり(ダイソーにも売っている柄が赤い目の細かいものがいいです)が使いやすいです。
 頭にステンレスの針金で作ったゴム引き用のフック(SDでのSカンみたいな役割をします)を埋め込む場合も、固定に瞬間接着剤が使えたので、簡単にぐらつきも無く固定できます。勿論、針金を埋めた後は粘土で塞いじゃいますから外からは見えなくなりますけど…、楽でいいです。
 完全乾燥後の木粉ねんどの接合には、木工用ボンドや瞬間接着剤が使えます。ただし、瞬間接着剤でつけた場合は、その上にラドールなどを盛り上げるには、木工用ボンドを塗ってから盛る必要がありますから、ご注意ください。

4.表面の調整について
 水で表面を湿らせた後、ラドールやクロスクレイの盛り上げは可能でした。接合強度もラドール同士とほぼ変わらず、乾燥後はがれるようなことはありませんでした(写真3)。仮に液状胡粉を頭部パーツに塗ってみたのですが、瞬間接着剤を含ませた部分についても液状胡粉ののりは良いみたいです。(写真4)
(写真3)ラドールやクロスクレイを上からかぶせているので、全身が白くなっているが、黄土色の部分が元の「木粉ねんど」の色。
手と足は、「木粉ねんど」だと乾燥に時間が掛かる(足は特に無垢だから)ので、3体目を作るのに使っていた「木の粘土+ラドール」で作ってます。
造詣についてはまだまだ修行の途中と言うことで、へたれですがその点はご勘弁を。
微妙な凹凸は、木粉ねんどを削って直すより、ラドールなどを盛り上げた後削って均した方が作業が簡単なようです。
まだ仮組みの段階なので、これから細部を治していきます。
(写真4)頭部パーツは液状胡粉を塗っていますが、状態はよさげです。
胡粉で埋まってしまったところを彫りなおししている途中です。
耳は、あらかた形を作って乾燥後瞬間接着剤で固めてリューターで削りだし。
リューターはダイソーで売っている安いものでも大丈夫です。

■最後に感想など…
 今回のサイズでダイソーの「木粉ねんど」は3袋を使用しました。使用性に関しては問題ないです。特に仕上がりが丈夫で軽いと言う点と価格面での優位性があるので土台に使う分として考えれば優れた素材の一つかもしれません。ただし、全てをこの粘土で作るのは、仕上がりまで手間と時間が掛かるので、あまりお勧めできません。瞬間接着剤で強化してやれば膝の部分など1〜2mmの厚みなのに欠ける心配がないのがうれしいです。他にも教室では使っていない素材も色々あるので、それらも試していけたらなぁと思ってます。このダイソーの「木粉ねんど」は、あと4袋残っているので、もう一体は作れる勘定ですね。次は、この粘土を使って胸小さめで腰関節を入れないボディサイズがミニSD互換の子でも作りたいですね。腕の長さや脚の長さは多少大きくして、身長で43cm位のを。今回の子も胸が大きいのでミニSDの衣装がなんとか合うのですが…なにせ、衣装に頭を悩ませなくていいので、それが一番かなぁ…


仕上がった人形の写真は、こちらにあります。
コンテンツ制作:2004年8月14日
改訂:2004年11月3日
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